ただ今、「虹のわ展」開催中の兵庫県伊丹。
伊丹には、野鳥がたくさん来る昆陽池がある。
私も以前何回か行った事はあるけど、
この池を作ったのが
奈良時代の僧・行基だとは知らなかった。
天平3年(731年)、荒れ地を開墾し、水田を開き、
農業用の溜め池を作り、
その中心に昆陽寺を置いたらしい。
池を作るなんてすごいなあ。
歴史に疎い私は、行基さんの事を何も知らないので、
ちょっと調べてみた。
寺に籠っての苦行や仏教学問研究をやめ、
外に遊行にでかけた行基さんは、
す、すごい活動をしている…。
念仏を唱えながらも、
あちこちで橋をつくり、道を修繕し、溝を掘り、堤を築き…
路傍で餓死する人を救うために、
布施屋という無料宿泊所までつくっている。
橋6、池16、溝6、港2、掘4、堤防3、布施屋49…
すごい…人間ブルドーザーみたい…。
権力と戦い、後はそれを上手く利用し、
貴族のものだった仏教を民衆も信じる事ができるようにした。
そして奈良の大仏さんも作ったんやな…
わあ、すごいなあ。
「虹のわ展」の帰りに昆陽寺に寄ってみました。
あ、いたいた、行基さん(笑)
行基さん、やっぱり拝殿の奥でじっとしてないで、
外におられました。
お体お大事に…
名僧に手を合わせてこんな事いう私も変やな(笑)
しかし、行基さん、あまりにも想像通りで…。
片足を地に降ろし、横に履物もあるし、
今にも工事現場に走って行きそうな気配だったのです…。
境内の奥へ行ってみました。
…ここは…?
静かな森の中に石仏が点在しています。
石仏は、みんなお揃いの赤い帽子をかぶっていました。
誰か、編まはったんやな…。
各石仏には、お寺の名前が書かれていて、
四国88カ所巡りになっているようです。
…静かです。
…心が洗われます。
ゆっくり歩いて行きました。
下を見ると、石仏の赤い帽子が一つ落ちています。
…ああ、落ちてるなあ…
またゆっくり歩いて行くと、
帽子のない石仏がいました。
…あ、さっき落ちてたのは、この人の帽子やな。
戻って、
ドロドロの帽子をパタパタとはらい、
せっかくだからと思って、
枯れ葉もきれいにとって、かぶせてあげました。
そして、
その石仏のお寺の札をふと見ると…
31番 竹林寺……(驚)
数日前、
奈良・生駒の竹林寺に行基の墓があるよと教えてもらい、
今度行こうと思っていたところだったのです…。
…この方は、
…行基さんだったんだ…。
この人の帽子もかぶせてあげた。
この人の帽子もかぶせてあげた。
ここは、何て心打たれる場所なんだろう…。
池の水に光が差して、七色に光っている。
小川もあった。
橋も架かっていた。
そして、境内の隅々にまで、光が差していた。
心打たれるお寺でした。
腰かけて休めるように、
拝殿の横には東屋もありました。
石碑に掘られた和歌は…
山鳥の ほろほろと鳴く 声きけば
父かとぞ思ふ 母かとぞ思ふ 行基